bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

日本

日本は衰退する。

ローマ共和制国家、マヤ都市国家、ソビエト共産国家、名誉革命以降のイングランドなど輝かしき繁栄を歴史に刻んだ国が衰退した要因は何か。それは収奪的な政治制度(権威主義、独裁的)と収奪的な経済制度(高賦課税、中央指令型計画経済)である。さらに為政…

12月8日の神話

いまから77年前の1941年12月8日(現地時間12月7日)大日本帝国軍は真珠湾に奇襲攻撃をおこない太平洋戦争の幕を切って落としました。 この奇襲攻撃を巡ってはローズベルト大統領が当初から知っていたとするアメリカの陰謀説が広く日本国内に流布しています。…

擬制国家に終幕を

昨年NHKが全国の18歳と19歳、1200人を対象に行った世論調査によりますと、日本が終戦を迎えた日について、14%が「知らない」と答えました。 12月8日について質問をしても同様な認知度でしょう。 スマホとSNSに没頭する若者、マネーゲー…

甲子園大会はナショナルな祭事だ。

お盆と敗戦記念日にまたがるこの期間に夏の高校野球は開催されます。日本の8月は6日、9日、15日です。日本人が祖先や故郷そして祖国に想いを致す時季なのです。そのような感傷的な季節だからこそ、科学的で経済合理性過多の日常から抜け出したいのです。灼熱…

昭和天皇は平和主義者なのか。

昭和天皇という人はいつも分限とか格好にこだわり、国民心情とくに貧者や弱者への洞察と寛容には欠けた小心狭量な人物であったと思います。さらには立憲君主主義者でも平和主義者でもなかったのではないかと思われます。 このような推測の根拠となる例を挙げ…

沖縄県知事かく戦えり

平成最後の夏に翁長沖縄県知事が亡くなられた。 オール沖縄のスローガンを掲げて前知事を破り沖縄県知事に就任してから約4年。まさに孤軍奮闘そして獅子奮迅の政府との闘いであった。日本全土の0.6%に過ぎぬ沖縄の土地に在日米軍基地の70%が配置されている。…

FIFAポーランド戦に美しい日本の終焉を見た

終盤に至るや見るに耐えない含羞なき同胞の球回し。「勝てば官軍」というが、勝ち敗けの前に道理がある。身を呈してでも道理に殉ずるのが清廉な日本人であったはずだ。相手チームに対する礼節を欠いた身勝手な行為はけっして容認できるものではない。そもそ…

「開戦神話」-対米通告を遅らせたのは誰か-書評

著者は開戦当時小学5年生の井口武夫、外交官。父君は開戦当時の在米日本大使館ワシントン勤務の外交官でした。 フランクリン・ルーズベルト大統領(FDR)は真珠湾攻撃を事前に知っていたが何の行動も起こさず日本を悪者にして日米戦争に引きずり込んだという…

日大アメフト部騒動にみる義理の悲劇

日大アメリカンフットボール選手のレイト・タックル事件が巷の話題となっている。 昨日おこなわれた本人の記者会見をみると愚行はどうも本人の意志ではなかったようだ。 この不祥事にたいする日大の一連の対応はあの戦争末期に起きた特攻隊の悲劇を想起させ…

北朝鮮をめぐる地政学的考察と日本の失敗

北朝鮮をめぐる国際情勢の動きは地政学的なアプローチだけでなく地経学的分析も必要だと思います。 まず地政学の本質が領土の征服から接続優位性に変化していることに目を向けるべきです。 先の大戦で明らかになったことは領土征服が必ずしも国益にはならず…

「淑女は何を忘れたか」-映画評

この名画が日経の日曜版ではコメデイと紹介されていました。実はコメデイに偽装して戦前のエリートを笑い飛ばした市井映画なのです。なによりも桑野通子には度肝を抜かれます。そのハツラツさは小津の遺作「秋刀魚の味」冒頭の岩下志麻を彷彿とさせます。 桑…

「二・二六に思う」ーあの日の雪は汚れていたのかー

天皇が年頭の感想で語った満州事変に始まるあの戦争は敗戦から70年、そして今日は雨降りの2月26日、二・二六事件79年目の記念日となる。 あの戦争は国民不在の状況で哲学なきエリートと既得権益者が結託した戦争であり金権強欲主義の敗北でした。 一方、明治…

森友問題の本質は民主主義国家の権威喪失と崩壊である

森友問題に関連して衆参両院の予算委員会で佐川前国税庁長官に対する証人喚問がおこなわれました。ラジオの実況中継を聴きながら思ったこと、それは権威に追従しその意向を忖度することで生き延びてきた庶民の盲点を突き問題の本質を外した政官共謀とも思え…

『ハルビン駅へ』ー書評

ロシア史を専門とするアメリカ人歴史学者の手になるハルビンの興隆史です。 20世紀の初頭、いまだかって自由を知らなかったロシアが国家システムに自由を導入しようと試みました。本土から離れた満洲に入植者を引き寄せ自由な社会を構築してロシア・リベラリ…

『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』-書評

本書で満洲建国大学なるものを初めて知りました。 満州建国大学は関東軍と満洲国政府の手により1938年、満洲国の新京市に創設されました。 民族協和を建学の精神として日本人、中国人、朝鮮人、モンゴル人、白系ロシア人の優秀な学生を集めました。その目的…

「3.11」とサッカー

駒沢のジムで汗を流してシャワーが終わると同時に’黙禱’のアナウンス。一瞬の静寂を裂いて隣接する駒沢オリンピック競技場からJ2ファンの大歓声が飛び込んできた。更衣室の窓から目をやると公園で散歩をする老夫婦も手作りのお弁当を開いた家族も黙祷をして…

『語られざる真実 (「戦争と平和」市民の記録)』

あの戦争で学徒召集され敗戦後にもかかわらず俘虜となり帰国後自殺した哲学者、菅季治。その誠実で悲惨な人生を菅のソ連抑留記、日記でたどる。さらに帰国後に彼のシベリアでの行為をめぐって開かれた衆参特別委員会の議事録と当代の知識人を結集した座談会…

『日露戦争、資金調達の戦い―高橋是清と欧米バンカーたち 』ー書評

幼いころ明治生まれの祖父の膝の上で映画「明治天皇と日露大戦争」をみてなぜか目頭が熱くなった記憶があります。 数十年ぶりにその感動が明治の日本人像という記憶で蘇りました。...日露戦争を陰で支えた黒子ともいうべき高橋是清、獅子奮迅の物語です。 決…

《二・ニ六事件の謎》

今日は二・ニ六から82年目の2月26日。 この事件が未だ謎であることを指摘してみます。 歴史教科書では、次のような説明をしています。 「政治的発言力を増した陸軍の内部では、隊付きの青年将校を中心に、直接行動による既成支配層の打倒・天皇親政の実現を…

二・二六事件とは何だったのか。

この事件は陸軍を二分した「皇道派」と「統制派」の内部抗争に端を発した軍部クーデタだった。そしてクーデター失敗により失墜した皇道派にかわり陸軍の覇権を掌握した統制派の独裁が進展した。その結果が軍部の暴走を招いた, というのが通説です。 私はこの…

定年延長は望ましいことなのか

給与「60歳の崖」緩く 定年延長、人手確保へ8割維持。 今朝の日経新聞は、定年を延長してさらに給与の減額を緩やかにする企業が増加していると報じています。このような動きの底流に国家社会主義の影を感じつつ政府の意向を極度に忖度してはいないか、長期…

『日本人の「戦争」』

日本人の精神構造からあの戦争とはなんだったのかを抉る。その論考は哲学的深淵に至る名著。 楠正成、織田信長の戦から明治へと身分差別を打破して国民の時代を築いた日本。日清・日露は「国民の戦争」を戦うことができた日本。 しかし文明開化は欧米人でも…

『「持たざる国」への道 - 「あの戦争」と大日本帝国の破綻』

あの戦争はー英米のブロック経済により困窮化した「持たざる国」日本が追い込まれた結果だーという国家の欺瞞に挑戦した元大蔵省官僚の一撃。 「当時の日本の勢いというものは産業も着々と興り貿易では世界を圧倒する。英国をはじめ合衆国ですら悲鳴を上げて…

俳優ー松方弘樹

「おやじさん、云うとってあげるが、あんたは初めから、わしらが担いでる神輿じゃないの。組がここまでなるのに、誰が血流しとるんや。神輿が勝手に歩けるいうんなら、歩いてみないや、のう!」「仁義なき戦い」第一作。松方演じる坂井鉄也が金子信雄演じる…

『第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち』-書評

逆説的ではあるが本書はポール・ケネディによる日・独の第二次世界大戦「失敗の本質」論とも言うべき傑作である。 当代きっての歴史学者ポール・ケネディは戦史や軍事行動、指導者に的を絞るのではなく「いかに制空権を勝ち取ったか」、「いかに電撃戦を食い止…

仮想敵国はどこか?

政府が来年度予算案に計上するという「長距離巡航ミサイル導入」が話題になっています。長距離巡航ミサイルが防衛のみでなく攻撃目的にも供される可能性があり、憲法と政府方針との齟齬が危惧されるからでしょう。 当然ながら政府方針に対しては賛否両論があ…

12月8日に考える。

12月8日に考えること。 それは、なぜ戦争は始まったのか? 分岐点はいつだったのか? なぜ戦争に敗れたのか? である。 敗戦直後の1945年11月、わが国は戦争への道を自らの手で検証しようと国家的プロジェクトを立ち上げた。それが戦争調査会だった。幣原喜重郎…

『幼児教育の経済学』ジェームズ•J•ヘックマン著ー書評

人間と経済の関係を出生率1.8などと無機質な数値でしか把握できず、公平性と効率性は公的投資における二律背反命題だなどという国の問題点がよくわかります。 また17歳以下の子供の貧困率が16.3%という日本の公共政策に携わる人のみでなく幼少期の子供、孫を…

擬似西洋国家の没落

1989年秋あの歓喜と自信に満ちたベルリンの夜明けはどこに行ってしまったのか。世界をリードしてきた西洋はなぜ没落しつつあるのか。公的債務は若者にツケを回し古い世代が安逸に暮す手段と化し、本来なら活気ある社会では革命を起こす力を持つエリート層は…

自動車のEV化に日本企業はついていけるか?

米国駐在から帰国した20年以上前のことです。なにげなくTVをつけると「モノより思い出」というナレーションが耳に飛び込んできました。TV画面に目をやると湖を前に車を止めた両親が車からランチボックスを降ろすと小さな子供と手をつなぎ楽しく野原に向かい…