bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

映画

インパール作戦

「朝起きてから山形新聞、AERA、週刊金曜日の原稿をまとめ書き。大阪万博とインパール作戦とマイナンバーカードについて書きました。始めた作戦を途中では止めることができない「総長賭博」体質はたぶんもう治りません。でも、自分たちがそういう国民文化の…

「暗殺の森」映画評

半世紀経過するもやはり感動の名作。 意外にも若い世代の女性が多く映画館は満員。 母性への嫌悪と同性への恋闕、富裕さゆえの虚無との葛藤に時代と悶える主人公、 それゆえ過去のあやまちからの逃避をファシズムに求めたインテリの悲劇。 テロ前夜のパリ、…

崩壊する日本人の道徳律

かっては日本人の行動選択に際して大きな影響を与えるものとして道徳律(勤勉、倹約など)が重要な地位を占めていたのではないかと思います。その中でも極めて重要でありかつ日本人の美徳の一つでもあったのが「正直さ」であったと思います。 この道徳律の起…

映画『ナンバーテンブルース さらばサイゴン / Number 10 Blues Goodbye Saigon』

戦火のベトナム、誤って人を殺めた商社マンの逃避行。 終戦間際のベトナム全編ロケ、生死のはざまでたくましく生きる人々そして美しい田園風景。躍動感あふれる画面。川津祐介はスクリーンからはみ出るほどの熱演。 しかしアクション映画ではない。 冒頭シー…

三島由紀夫の命日に思う。

三島由紀夫が市ヶ谷台で自決し果てて今日でちょうど50年。三島の最後の言葉「仕方なかった」。中心がないまま確たる目的もなく東洋の果て風に流されるまま漂流する日本。仕方ない国家はこのまま朽ち果てるのでしょうか。三島由紀夫の次の言葉を思い出します…

映画パラサイトは日本の悲喜劇か。

今年のアカデミー賞四部門を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」を観ました。 路地裏の半地下に暮らす夫婦と息子、娘、四人の貧困家族。ある日、息子は友人から家庭教師の代役を紹介をされる。それをキッカケに富豪の家に娘は美術教師、父は運転手そし…

「淑女は何を忘れたか」-映画評

この名画が日経の日曜版ではコメデイと紹介されていました。実はコメデイに偽装して戦前のエリートを笑い飛ばした市井映画なのです。なによりも桑野通子には度肝を抜かれます。そのハツラツさは小津の遺作「秋刀魚の味」冒頭の岩下志麻を彷彿とさせます。 桑…

「昭和残侠伝ー死んで貰います」 映画評

「止めはしないわ・・でも次は私だけの義理に生きて・・」と死地にむかう高倉健に縋る藤純子。匂うほどの艶かしさで演じた藤純子の演技がひときわ感動を誘います。義理に命を賭ける惚れた男への羨望とあきらめきれない想いを籠めた一言でした。恥ずかしながらこ…

俳優ー松方弘樹

「おやじさん、云うとってあげるが、あんたは初めから、わしらが担いでる神輿じゃないの。組がここまでなるのに、誰が血流しとるんや。神輿が勝手に歩けるいうんなら、歩いてみないや、のう!」「仁義なき戦い」第一作。松方演じる坂井鉄也が金子信雄演じる…

『東ベルリンから来た女』ー国家への別離を静謐に描く名画。

とにかく題名がいい。(原題はBarbara)東ベルリンというだけで哲学的でミステリアスな雰囲気が漂う。1980年東ドイツ、東ベルリンから田舎の病院に左遷された小児科女医が主人公。落ち葉舞う侘しい街路の一角、病院前でバスから降り立つ主人公、古びた病…

任侠映画を超えた名作「博奕打ち 総長賭博」

「これは何の誇張もなしに『名画』だと思った。」と三島由紀夫が絶讃した作品です。 一家の総長が倒れ、跡目をどうするかとなったとき格からみて当然と思われた鶴田浩二の兄弟分若山富三郎が騒ぎを起こし務所入りとなる。お鉢は鶴田に廻るが若山を立てるべき…

石原慎太郎論

父を亡くした長男の石原慎太郎が公認会計士をめざして勉学に励む傍らで弟裕次郎がくり広げる奔放で野放図なブルジョア的青春。それは日夜机に向かう慎太郎の羨望を秘かに掻き立てたに違いない。 そのプライドゆえに自分にはできようもない破天荒で反倫理的な…