bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

森友問題の本質は民主主義国家の権威喪失と崩壊である

 


森友問題に関連して衆参両院の予算委員会で佐川前国税庁長官に対する証人喚問がおこなわれました。ラジオの実況中継を聴きながら思ったこと、それは権威に追従しその意向を忖度することで生き延びてきた庶民の盲点を突き問題の本質を外した政官共謀とも思える欺瞞のパフォーマンスでした。

 

森友問題が提起した問題の本質とは何か。それは国家資産が恣意的に毀損されるリスクです。


わたしたち国民の共同資産は国家に付託され、その運用は財務省などの行政機関に委任されています。なぜなら民主主義国家では行政の権力行使が予見可能な「法の支配」で担保されているからです。そして受託者たる国家と行政機関は国民に対して権力行使が共同体全体の利害を反映したものであったという「説明責任」を負います。

 

ところが森友問題では法の支配も説明責任も全うされてきたとは到底言えません。いうまでもなく法の支配と説明責任は民主主義政治の根幹です。しかし証人喚問では民主主義政治の危機という由々しき問題はみごとに文書改ざん事件に矮小化され問題の本質がすり替えられてしまったのです。

 

このすり替えに貢献著しい佐川氏は勲一等で御身安泰、財務省は政権に恩を売り安倍政権はその借りを手形に無罪放免でしょう。
国民不在の道義なき世襲政治家と公益を私有化する官僚システムの野合で国内問題は収束することでしょう。
しかし財務省が公文書を改ざんしたという国家権威の喪失問題は対外的に終息することはあり得ないでしょう。国際会議では官僚の作文を棒読みするだけの首相や財務大臣の言葉を誰が信ずるでしょうか。

 

森友問題の残滓、国内では民主主義政治の崩壊リスク、海外では国家の権威喪失と禍根を残すことでしょう。