bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

年金の財政検証に何の意味があるのか。

年金制度の仕組みはすでに破産が明白である。

しかし厚生労働省は27日、公的年金制度の財政検証結果を公表した。経済成長率が最も高いシナリオでも将来の給付水準(所得代替率)は今より16%下がり、成長率の横ばいが続くケースでは3割弱も低下する。60歳まで働いて65歳で年金を受給する今の高齢者と同水準の年金を現在20歳の人がもらうには68歳まで働く必要があるとの試算も示した。(日本経済新聞、2019年8月28日朝刊)

年2%のインフレ目標さえ2年で達成するといいながら6年経過しても達成のめども立たない状況にある。また産業構造が金融資本主義からデータ資本主義に移行しており国民の勤労形態や所得構造も大きな変動が予測される。

かような経済状況のパラダイムシフトを示さず根拠なき経済成長率のみを前提にして、将来の給付水準を予測することにいかなる意味があるのか。

エリートの無責任な自己満足でしかないのではないか。

やるべきは現行システムの手直しなどではなく年金制度の新しい仕組み作りであろう。しかし国家ビジョンがなくてはその発想も生まれない。国家の大計なき日本の悲劇だ。