bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

グリーンランド購入は理にかなっている

トランプ大統領デンマーク政府の実質管理しているグリーンランド島を購入したいと発言した。島全体が氷に覆われ人口5万6千人のグリーンランドを買いたいというので日本では失笑を買っている。

 

しかし地政学的にみるとトランプ大統領の意図は明確に浮き上がってくる。

 

第二次世界大戦終了後の1946年、トルーマン大統領は1億ドル相当の金塊と引き換えにグリーンランドアメリカに譲って欲しいとデンマークに交渉した。その理由はソビエトとの冷戦が始まっており北極点を超えてソビエト戦略爆撃機が襲撃してくる可能性があることだった。そのリスク回避のためには、北極点に一番近い陸地にレーダーサイトを作りソビエトから戦略爆撃機が飛んでこないか監視することが重要であった。しかし、その交渉は成立しなかった。それでもアメリカは1953年からグリーンランドの一番北西寄りのチューレに空軍基地を作りレーダーサイトを置いて監視をしている。

 

今度のトランプ大統領の目的はロシアではなく中国であろう。グリーンランド北辺の北極海は近年になり氷が急に減ってきたので、船が運航できるようになりそうだという。氷が無くなるとグリーンランドの金、亜鉛、石油などの地下資源が採掘しやすくなるであろう。しかし、ここに勝手に手を出すことはできない。アメリカ、カナダ、ロシア、スウエーデンなど北極圏の中に領土を持つ8ヵ国が、北極協議会を設置しており、そこで決める事になっている。日本はフランス、中国、ドイツなど12ヵ国でオブザーバーとして参加をしている。

 

中国は北極に領土はないが近傍諸国を取り込もうとしているようだ。2018年に氷のシルクロードで北極圏を周りアジアとヨーロッパを一帯一路経済で繋ぐと言い出した。

 

そこでアメリカもうかうかしていられない、というのがトランプ大統領の発言の背景ではないか。

さらにシリコンバレーの有力企業は世界の水不足を先取りしてグリーンランドの氷から水ビジネスを目論んでいるとの噂もあるようだ。