bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

世界経済のトップに躍り出るのは中国か。

国家経済は、民間部門と政府部門そして海外部門から成り立っています。そして、それぞれの部門に収支がありますから三部門の総収入と総支出の合計が恒常的にプラスであれば国家経済は成長できるはずです。

そうであれば、

民間部門の収支+政府部門の収支+海外部門の収支­>0

であればいいことになります。

 


ここで政府政策により収支が操作できる部門を考えてみます。

海外部門は為替レートの変動要因に加え輸出先の経済状況や政策に左右されます。輸入も国民所得の変動などに左右されます。。このため政府が海外部門の収支を操作することには限界があります。

政府がある程度、裁量的に操作できるのは政府部門の支出(財政出動)と民間部門の支出(増税)しかないと思います。

(政府の収入となる増税政策は、税率は操作できるが収入=税収額は操作できない。政府の支出となる減税政策も同様)

ということになると、現在の体力はアメリカが勝るものの政府政策を操作しやすいのは一党独裁の中国であり、この体制が存続する限りいずれ中国がアメリカのGDPを凌駕すると推測できます。

 


そこで両国の政治体制の変質要因ですが、アメリカは自由民主主義の体質が多少変化することはあっても体制が独裁主義に変化するとは考え難いと思います。香港での生活経験から中国人についてある程度の認識はありますが、中国の歴史をみますと大きな政治体制の転換が繰り返されてきたように思います。ネット社会においては政府がいかに規制をしようとも世界の情報は漏れ伝わり国民の間でも自由な意思疎通が可能です。今の共産党独裁が長期にわたり続くかは疑問に思います。

 


そこで民間部門と海外部門の収支の総合力はどちらが優勢かということに目を向けます。

両部門の収入に大きな比重を占めるのはITとバイオだと考えられます。バイオについては知識がないのでITのみに絞ります。

IT技術については中国が多くの分野でアメリカを凌駕しつつあると思います。国家主導で推進するリアルの世界の一帯一路戦術そしてAIIB(アジアインフラ投資銀行)のネットワークと5G を基盤にした通信ネットワークの戦術。これはアトムとビットの融合による世界制覇の地政学的な戦略であることがわかります。しかし経済発展の基盤作りはできても成長を恒常的に維持するためには消費者のサイフを魅了し続けることが不可欠です。

この分野では25億人のユーザーを擁するフェースブックを始めとするGAFAアメリカが中国勢に負けるとは思えません。中国にもGAFAに並ぶようなBAT(バイドウ、アリババ、テンセント)がありますが、世界に拡大するとは思えません。なぜならサービスがいつ中断されるかという政治的リスクが表裏一体だからです。

さらに考察すべきことはありますが、この部門では優劣をつけがたいです。

最後の論点として両国の人口差を考えたうえで総括しますと、中国の現在の政治体制が続く限り早晩中国が世界経済のトップに躍り出ると愚考します。