戦火のベトナム、誤って人を殺めた商社マンの逃避行。
終戦間際のベトナム全編ロケ、生死のはざまでたくましく生きる人々そして美しい田園風景。躍動感あふれる画面。川津祐介はスクリーンからはみ出るほどの熱演。
しかしアクション映画ではない。
冒頭シーン、街頭で物売り少年が彼に呼びかける「日本人だろ、日本人は金持ちで親切でナンバーワン!」
駐在事務所の隠し預金を引き出した主人公、日本人の父親を持つベトナム青年と彼に好意を寄せる歌い手の協力により国外脱出が成功するかに思えたが・・・。
ベトナム戦争が終結しジャパンアズナンバーワンとおだてられ、茹でカエル状態で
高度成長を直走ったあの時代、本当に日本人はナンバーワンと評価されたのか。
ナンバーテンの最低ヤローではなかったのか。
この映画が40年も国内上映されなかったのはなぜか。
衝撃のラストシーンが暗示的だ。
なぜかアベノミクスに浮かれる日本に違和感を感じるこの頃、なぜだろうか、
この映画はそんな疑問に一抹のヒントを与えてくれた。 2014年公開