bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『緩慢の発見』シュテン・ナドルニー 著

ドイツ文学の新たな古典と評価される一冊。なんとも不思議な小説。19世紀北極圏で全滅したフランクリン隊は冒険史上有名な逸話らしい。その隊長であった探検家ジョン・フランクリンの生涯を描いた小説。幼いころから海を夢見ていたが、生まれつき話すのも動…

『大格差』

原題「AVERAGE IS OVER」 資本主義の行き着く先は超実力社会、少数の大いなる勝者とその他大勢の敗者となり中間層の減少は必然だという。 その根拠はコンピューターに象徴される機械の知能の驚異的で迅速な発展である。いまやアメリカの知的エリートが目指す…

『「持たざる国」への道 - 「あの戦争」と大日本帝国の破綻』

あの戦争はー英米のブロック経済により困窮化した「持たざる国」日本が追い込まれた結果だーという国家の欺瞞に挑戦した元大蔵省官僚の一撃。 「当時の日本の勢いというものは産業も着々と興り貿易では世界を圧倒する。英国をはじめ合衆国ですら悲鳴を上げて…

俳優ー松方弘樹

「おやじさん、云うとってあげるが、あんたは初めから、わしらが担いでる神輿じゃないの。組がここまでなるのに、誰が血流しとるんや。神輿が勝手に歩けるいうんなら、歩いてみないや、のう!」「仁義なき戦い」第一作。松方演じる坂井鉄也が金子信雄演じる…

『秋の思想』ー河原宏〜書評

歴史はこざかしい認識論などで解するものでない。それは誠実さを尽くして生きかつ死んだ人の記憶とそれを追慕する人間像であると主張した著者の遺作。 源実朝から三島由紀夫まで情と志に生きた「人」の思想をその時代、社会背景から浮き彫りにする。 歴史観…

『私たちはなぜ税金を納めるのか:租税の経済思想史』-書評

納税は義務ではなく権利だ!なんの疑問も抱かず納税を義務として受容するこの社会に反感を覚えて数十年、ようやく我が意を得たる一冊に邂逅した。17世紀英国のホッブズ、ロック、19世紀ドイツのワーグナーそして20世紀のルーズベルト大統領と大思想家、政治…

『コンテキストの時代』-書評

スマートフォンを失くすくらいなら自動車を失くした方がましだ!冗談ではなくそうかも知れないと思う人が少なからず存在するのではないだろうか。 急増するインターネット接続依存症その媒介助長機能として縦横無尽のスマートフォン。なぜか手許にスマートフ…

『帳簿の世界史』-書評

会計が文化の中に組み込まれた社会は繁栄してきた。この主張を裏付けるヨーロッパ政治社会史の手引書ともいうべき本です。その解析手法は秀逸で気楽な読み物として登場する人物、逸話への興味は尽きません。 無理を承知で勝手な時系列で要約をしてみます。 …

『国家の罠』−書評

小泉政権の熱狂から10年経過したいま本書を再読。そうすると安倍首相一人勝ちの背景が忽然と浮かび上がってきました。 あの当時は鈴木宗男氏への国策捜査に国民は熱狂しました。国策を大義名分にした成り上がり政治家が外務省情報分析官と組んでの蜜月出世物…