bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『日露戦争、資金調達の戦い―高橋是清と欧米バンカーたち 』ー書評

幼いころ明治生まれの祖父の膝の上で映画「明治天皇と日露大戦争」をみてなぜか目頭が熱くなった記憶があります。 数十年ぶりにその感動が明治の日本人像という記憶で蘇りました。...日露戦争を陰で支えた黒子ともいうべき高橋是清、獅子奮迅の物語です。 決…

《二・ニ六事件の謎》

今日は二・ニ六から82年目の2月26日。 この事件が未だ謎であることを指摘してみます。 歴史教科書では、次のような説明をしています。 「政治的発言力を増した陸軍の内部では、隊付きの青年将校を中心に、直接行動による既成支配層の打倒・天皇親政の実現を…

『政治の起源』–書評

「歴史の終わり」のフランシス・フクヤマの著書。新世紀の幕開けを告げたオレンジ革命もアラブの春もその思惑とは異なり政治の迷走がいまだ止まない。ベルリンの壁の崩壊にともない期待された歴史の終わりは訪れず、勝利したはずの民主主義は今やますます混…

二・二六事件とは何だったのか。

この事件は陸軍を二分した「皇道派」と「統制派」の内部抗争に端を発した軍部クーデタだった。そしてクーデター失敗により失墜した皇道派にかわり陸軍の覇権を掌握した統制派の独裁が進展した。その結果が軍部の暴走を招いた, というのが通説です。 私はこの…

白川道の小説

年に一度は白川道を読みたくなる。それは場末の酒場で無性に安酒をガブ飲みしたくなる気分に似ている。 雨上がりの夕暮れ時、盛り場の雑踏から逃れるように飛び込んだ裏路地の見知らぬ居酒屋。日陰の喜怒哀楽が焦げ付いた温風がエアコン代わりの換気扇に乗っ…

定年延長は望ましいことなのか

給与「60歳の崖」緩く 定年延長、人手確保へ8割維持。 今朝の日経新聞は、定年を延長してさらに給与の減額を緩やかにする企業が増加していると報じています。このような動きの底流に国家社会主義の影を感じつつ政府の意向を極度に忖度してはいないか、長期…

『日本人の「戦争」』

日本人の精神構造からあの戦争とはなんだったのかを抉る。その論考は哲学的深淵に至る名著。 楠正成、織田信長の戦から明治へと身分差別を打破して国民の時代を築いた日本。日清・日露は「国民の戦争」を戦うことができた日本。 しかし文明開化は欧米人でも…