bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

演歌

歌謡曲にみる汽車の意味

汽車には、人や物の運送を担う公共交通機関としての役割のみではなく人の喜怒哀楽を誘引する不思議な力があると思う。汽車は同じ鉄路を毎日往復するのに、人は一期一会の思い出を汽車に託して記憶する。幼い日、田舎道が東京に向かう鉄道と交差する小高い丘…

戦後民主主義の命日に流れる唄がない。

白内障の手術が終わり不自由な片目を開けて病室の天井を見つめていると静寂な夕暮れの窓外に雨音が聞こえてきました。電気スタンドの明かりを消して眼を閉じると耳もとに西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」がかすかに聞こえてくる気がします。昭和35…

昭和45年という時代を抉り取った歌手 2

昭和45年4月には「圭子の夢は夜ひらく」7月には「命預けます」と連続してヒットを飛ばした。そして藤圭子は昭和45年の一年間で燃焼してしまったのだ。 ゲバラ、サルトルそして朝日ジャーナルに象徴される革命的未来に若者たちは憧れた。そんな輝かしいユート…

日本エンカ論。

演歌の北島三郎、都はるみ。 艶歌はちあきなおみ、美空ひばり。 援歌の水前寺清子、村田英雄。 縁歌は三波春夫、千昌夫。 遠歌の春日八郎、井沢八郎。 怨歌は梶芽衣子そして恨歌は藤圭子だった。

『ちあきなおみに会いたい』

就職活動の噂話が流れてきたのはゴールデンウイークが終わって長雨が続く蒸し暑い日だった。 昼どき学食の隅に置かれたテレビからは往年の童謡歌手が「ルルル…ラララ…」と囁やくごとく妙な歌を唸っていた。 ちあきなおみのデビュー曲「雨に濡れた慕情」が深…

共謀罪法案とアカシアの雨

共謀罪法案が今日6月15日に成立しました。 安保法案、特定秘密情報保護法、個人番号法と一連の情報統制法案の締めくくりとして の共謀罪法です。これにより国家統制体制への法的整備が終了となるのでしょう。 戦後の焼け跡から営々と築き上げてきた日本の…

アザミちゃんという名の犬。

半年ぶりに田舎の温泉街で年上のゴルフ仲間と痛飲した。 妻を早くになくした彼の住まいはその温泉町の相模湾を一望する楕円形のマンション最上階にある。 その部屋で彼はアザミちゃんという名の老犬と暮らしていた。 昔その名の由来を尋ねたことがあるが彼は…

昭和45年という年を抉り取った歌手 1

学生時代一年ばかり新宿西口の近辺に住んでいたことがある。当時の西口は淀橋浄水場が埋め立てられ京王プラザホテルを筆頭に高層ビル街建設の最盛期だった。早朝から槌音が響き建設労働者の汗が陽光に湯気を立て夕方になると駅近辺の酒屋の店先は立ち飲み酒…