bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

デジタル化とは何か

日本を含む多くの先進国では経済格差の拡大が続いています。この大きな背景は新自由主義と金融資本主義が健全なる経済発展を阻害してきたためと思われます。巷間いわれる産業の空洞化というのものは別の次元の問題です。日本の産業のモノ作りの成功例であった電機や機械産業が競争力を失い韓国や中国に敗れたのは、デジタル化の意味を理解できなかったからだと思います。デジタル化への移行は韓国や中国より早かったのですがモノ作りをデジタル化しただけで結局は製品のコモデテイ化を推進して自滅をしたのです。デジタル化の意味とは、アトムによるモノ作りの価値ではなくビットによるコト作りです。例えばソニーのウオークマンはアトム発想の傑作でしたが音源はCDやMDなどのアナログ媒体でした。そのため本体と一緒に音源媒体を携行しなければなりませんでした。しかしアップルのiPodはデジタル音源を使うため本体に内蔵したメモリーチップにデジタル録音をすれば良いのです。CDなどのアトム媒体は不用となりました。
ソニーは本体のみならずCDなどの音源媒体でも販売利益を目論んでいました。しかし消費者にとって本体と音源媒体を持って歩くのは煩わしく面倒です。目的は音楽を聴くことですから、本体と音源媒体が一緒になっているに越したことはありません。更に音源取得の選択肢がアナログではハードウェアの互換性などにより限定されますがデジタルだと音源への接続融通性は無限に近いものとなります。
昔から音楽を聴くには音源媒体と再生装置が必要だったのですがiPodは両方を一体化したのです。同様にAmazonは倉庫と運送そして支払い機能を一体化しました。アトムの発想を一体化して即時性と可視化を実現して消費者のコト作りーiPodの例で言うとどこからでも好きな音楽を手に入れて何処でも聴けるーすることを支援することがデジタル化の意味です。しかし日本のメーカーはいいモノを作りのDNAを脱しきれずアナログ製品をコモデテイ化するだけだったのです。もう一つデジタル化の意味があります。それはアトム発想の、利益の源泉はモノ作りによる販売利益とは異なるもので、デジタルプラットフォームの使用による利用料が利益の源泉であることです。
GAFAがその典型です。アップルはモノ販売でも大きな利益をあげていますが。このようなデジタル化の意味に気づいたのは豊田章男さんが恐らくは最初ではないでしょうか。彼の危機感は車は売るモノでなく使うコトに価値があるとして大きな発想転換をしています。グーグルなどデジタルプラットホーマーと提携しないと明日はないと明確に自覚しています。おそらく日本の自動車メーカーで生き残れるのはトヨタだけかもしれません。