本日のニュースを聞いて三度びっくりしました。
処理水を国の基準を下回る濃度に薄めて海洋に放出する」ことを決定したというのです。
一つは、菅政権の外交オンチです。
バイデン大統領との日米トップ会談を数日後に控えて、
なぜ日本にとり不利な交渉材料をあえていま公表するのかまったくわかりません。
二つめは、危機管理オンチです。
安倍前首相は、2013年の東京五輪・パラリンピックの招致演説で、福島第一原発の汚染水状況について「アンダーコントロール」と世界に向けて断言しました。今回の菅首相発言はこの安倍前首相の断言と矛盾しています。
中国は、この汚染水の海洋放出を環境汚染問題として取り上げて、待ってましたとばかり
「日本は国際テロ国家」だとロシアなど結託してと針小棒大なキャンペーンを張ってくるかもしれません。
政府はトリチウムを含む汚染水は基準を下回る濃度で人体への影響はないと説明していますが、
世界の海洋に生存する生態系の安全性など海洋環境への総合的な影響については言及していません。
これでは、カーボンフリーやSDGなど借り物の概念をわが物のごとく振りかざすものの、日本政府は環境問題のイロハさえ理解していないのだと世界中から失笑を買うのではないでしょうか。
科学的合理性が社会的道徳観をいつも凌駕して人を説伏するとは限りません。
中国の軍事的な脅威より恐れるべきは世界から沸き起こる日本バッシングかもしれません。
世界的な日本排除運動になっては中国包囲網どころではありません。
三つめは、政府と東京電力の無能です。
貯蔵するだけで、政府ともども国内での処理策を構築も実施もできませんでした。
政府ともども時間をかけて処理策は検討したようですが、その結果が出せなくては政治とは言えません。
想定外の一言で逃げ回り、その結果として生じた汚染水を自己解決できず海洋に垂れ流すという始末です。
震災被災者への対応を含めて過去十年の東京電力と政府の無責任で無節操な振る舞いは、
まったくお粗末でアホとしか言いようがありません。
汚染水の海洋放出は、無能な政治と無責任な東京電力(過去の栄光に生きる大企業)が演じた日本社会の悲劇です。
しかし、悲劇の本当の主人公は私たち日本国民であると思います。