アメリカの底力というより、日本に比べて優れていると思う点を述べてみます。
それは、権力・為政者のアメリカ・ファーストの「戦略的思考」と戦略実行のための「システム構築力」、
社会の「敗者への寛容性・再挑戦の容認」だと思います。
戦略的思考は、国家と企業が一体化して経営戦略と市場政策を一緒くたにして遂行する、
官民一体型意思決定が基盤にあってこそ可能と思っています。
ところが日本ではすべて自分が通常で世界も同様だと思う人が多く、アメリカも国=政府と企業は
別枠だと思っているようです。表面は別でも裏では一体化してるのがアメリカ権力だと思います。
戦略的思考の例を挙げます。
第二次大戦終了後の世界制覇を目論み1944年に連合国側で締結した、「ブレトン・ウッズ協定」です。
この協定でアメリカは、事後にIMFと世界銀行を設けて金本位制に基づく米ドルを基軸通貨としました。
そして外国為替の固定相場制度を敷いてアメリカ主体の世界金融システムを構築、アメリカ資本主義の世界的基盤を確立しました。
アメリカのシナリオとおりにアメリカ資本主義は発展拡大を続け、アメリカは海外に売るよりも多くのモノを
買い入れるようになり、貿易赤字は拡大しました。いっぽう、輸出国はおおいに潤いまたアメリカから遠く離れた工場を所有する
アメリカ企業はそこで上がった利益をウオール街に送金・投資しておおいに潤いました。
しかし累積する貿易赤字とベトナム戦費に苦しんだアメリカは、1972年ニクソン大統領が固定相場制を放棄して変動相場制に移行して
ドル安誘導という債務の棒引き(金防衛と借用書の割引)をやってのけたのです。まさにニクソン・ショックでした。
しかし、商品資本主義から脱却できないアメリカはモノ経済に固執、モノの生産は日本はじめ韓国やドイツにコスト的にかなうはずがなく
アメリカは1985年G5参加のプラザ合意で主に日本を狙い撃ちにするドル切り下げを断行しました。
それでも貿易収支は改善せず(アメリカが魅力ある商品を世に出せず)アメリカは戦争ビジネスに活路を求め、
湾岸戦争、アフガニスタン、イラク、リビアなど相次ぎ失敗。しかし、軍需産業はIT産業が技術発展を遂げる重要な培養土となったのです。
次にアメリカが仕組んだのは金融カジノです。
債務を商品化してその商品の破綻リスクをも商品化するといった金融工学を駆使したギャンブル資本主義です。
やりたい放題の金融資本主義がわが世の春を謳うもつかのまリーマンショックが到来。
するとアメリカは中央銀行の水門を開けて惜しげまなく金融業界にドルを放出しました。
(金融業界への社会主義政策の適用です)金融業界は、その豊富な資金をシリコン・バレーに向かわせることになりました。
この間にシリコンバレーでは、マイクロソフトがモノからコトへのコペルニクス的転回に成功し、atom以上にbitへの価値に
気づいた消費者はアップルやグーグルを世界的企業へと引き立てました。(この時期に私はシリコン・バレーに居住していました。
ビル・ゲーツやステーブ・ジョブズは若者の神様、Being Digitalを日々生きていました)
彼らの努力はいくら失敗しても庶民は見限ることなく、再挑戦を温かく迎えました。
iphoneができるまでニュートンやらなにやらジョブズは繰り出しました、アメリカ社会は失敗するほどに次の跳躍に期待を寄せるのです。
そしてアマゾン、フェースブックなど続々とコト企業が誕生しました。
この動きに合わせるように昔ながらの物理的資本が支配する世界から切り離された「新自由主義」イデオロギーを作りだして
「欲望」という名の美徳を崇める「グローバリズム」の布教宣伝にアメリカは方向転換したのです。
いまだグローバリズムというと民主主義同様、みんなに幸せをもたらす青い鳥と思い込んでいる人がいます。
しかしグローバリズムとは、元祖アメリカの現状を見るとわかるように、赤字と債務と投機が際限なく膨らみ続ける国際システムなのです。
グローバリズムの美名のもと、世界がモノの交易に励んだ結果、製造コストが高い先進国は日本をはじめ貿易赤字が拡大しました。
いっぽうアップルやグーグルはただで働いてくれるサードパーテイ開発者が生み出す売上から一定割合の
ピンハネをすることで利益(というより地代)を得るレント・ビジネスを確立しました。
モノの売買の差額で利益を出す利潤(商品ビジネス)と異なり、レント・ビジネスは供給量が固定しているためアクセス特権を生み出します。
利潤は市場競争の影響を受けやすく不安定です。
消費者はGAFAを無料で利用できますが、そのつど個人データをタダで提供し続けています。
モノの売買がない新しい資本主義ークラウド経済をアメリカは作り上げたといえます。
スマホでの情報検索や電話をする、商品購入・支払いをする人は世界で幾何級数的に増えているようです。
げんに私もスマホがないと身動きが取れない状況に蜘蛛の巣に囚われて居ます。
インターネットに乗ったクラウド経済、イーロン・マスクが巨額を投じてツイッターを買収したことで
アメリカは新たな経済圏の帝王に、しかし中国もアリババなどクラウド帝国を輩出しています。
クラウド帝国は世界の若者の意識を国民ではなくネット市民に転換してしまったのではないかと思います。
このようにアメリカは戦略思考とシステム構築能力に優れていると思います。
ただし、経済面のみの話です。
文化・思想や社会の面では比較基準が難しく私は論じられません。