今回の衆議院選挙は政党や政策選択の選挙ではなく、国民が現政権の全権を高市首相に白紙委任するか否か、その回答を要請された異様な選挙でした。
最初から政権維持目的の選挙であり、高市首相(その一味)の選挙戦略が上手かったと思います。
その戦略は三つの戦術から構成されていました。
一つは、短期決戦宣言(第二次大戦初期にドイツ国防軍が行った電撃戦を模倣か)による敵側の錯乱、
二つ目は簡単明瞭なスローガン「強い日本」を強烈に(「それしかない」)打ち出したこと、
三つ目は首相のイメージ(見栄え)戦略です。
この三つの戦術の編集が成功を挙げています。
この背景を辿ってみます。
・短期決戦
「首相への白紙委任を要請する選挙」を目的に、高市首相は国権の最高機関である国会の召集日、その冒頭に衆議院解散を表明しました。
野党も国民も「寝耳に水」の首相声明であり、さらに投開票日は2月8日と短期決戦の選挙を宣言されたたのです。
野党は政策云々や戦略立案どころではなく、国民は候補者の主張など十分に検討する時間的余裕もなく、投票日を迎えたと思います。
・簡単明瞭なスローガン
高市首相は衆議院解散の理由を次のように述べました。
「高市早苗が、内閣総理大臣で良いのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく、それしかない。
『日本列島を、強く豊かに。』今、着手しなければ、間に合いません。」
政策については何も語らず(ここがミソです)、「日本を強く」「高市早苗」そして「それしかない」の歯切れのいい啖呵、三語です。短期決戦ですから、これで十分でした。
・イメージ構築(見栄え良さ)
日本の選挙で有権者の支持を獲得するには、論理や政策ではなく肝心なのはイメージであることを高市首相は熟知していました。
そこで、投票者に政策や首相の発言を熟考する時間的余裕を与えず、直感で感覚的に投票先を決めさせるべく、短期決戦戦略を採ったのです。
さらに一昨年の自民党総裁選での敗北から学んだと思われる戦略つまりイメージ転換を図ったのです。(以下--部分は、東洋経済オンライン2月11日号記事からの要約です。)ーーまず見た目ですが、黒くて濃い眉毛をブラウン系に、ルージュは濃色からナチュラルカラーに、ダークスーツから
ライトカラーの柄物スーツに変えて、--険しい目つきはいつも笑顔となり、全身から親しみやすさを滲ませて国民に訴求したのです。
短期決戦は、投票者に熟慮の時間を与えぬこと、また笑顔の女性候補は真顔の女性候補より10%以上好感度が高く、投票者が直感で投票した候補者の当選率は70%であることなど各種データから高市陣営は学んでいたのでしょう。
FB友達でドイツ在住の女性大学教授は次のように述べています。
「最近、日本のメディアが拡散する「サナ」のイメージの影響で、大粒の真珠のネックレスや青色のジャケットがドイツの街中や通販サイトで、私の目にも入ってくるようになりました。
ARD(ドイツ公共放送連盟)の特派員は高市首相就任後のイメージ戦略を次のように報道しています。ー日本語では「サナ活」とも呼ばれる現象は、
彼女が常に持っている同じハンドバッグを人々が買い求めるところから始まりました。
そのバッグは日本製で、価格は約800ユーロ(約15万円)と決して安くはありませんが、すでに完売しています。テレビ番組では、彼女の服装がことさらにもてはやされています。
彼女が化粧品について何か発言すると、その発言は視聴者から非常に好意的に受け取られ、模倣されます。つまり、彼女本人やその外見に関わるあらゆることが、現在は大きな意味を持っているのです。」
・以上のような戦術を多角的に活用することで、首相としての能力も実力も分からぬのに「私で良いか決めなさい」それしかない、と問答無用で国民に質した結果、多くの国民は直観短慮で投票したのでしょう。
そして、高市首相は衆議院選挙で見事な戦略勝ちしたものと思います。