「国民会議」は、2008年に当時の福田康夫首相が「社会保障国民会議」として閣議決定によって設置したことに端を発します。
その設立趣旨は、与党単独の多数決による決定では国民の強い反発が予想される重要な政策課題について、学識経験者や経済界、労働界など多様な立場の関係者を広く招き、建設的な議論を通じて社会的合意を形成することにありました。これは法律に基づく常設機関ではなく、特定の課題解決のために期間を限って設けられる協議体です。
今年2月の衆議院選挙で異例の首相選択という国民投票(?)を経て首相に選出された高市首相は、消費税減税と給付金付き税額控除の導入を目指し、新たに「国民会議」を設置しました。
ここで注目すべき事態が生じました。
高市首相は、給付金付き税額控除の導入に賛同することを野党参加の前提条件としたのです。さらに、「社会保障国民会議」であるにもかかわらず、議員定数削減といった別の政策課題にも議論を広げようとしています。
本来、多様な意見を持つ関係者が集い、合意形成を図るべき「国民会議」でありながら、異なる立場や意見を初めから排除する姿勢が見受けられます。
申すまでもなく、国政の重要課題を慎重に論議すべき場は国会です。しかし、現状では自民党が単独で3分の2を超える議席を有しているため、高市首相の意向に沿った参加者によって構成された「国民会議」の結論は明白であり、自民党による一党支配体制、すなわち戦前の大政翼賛会を彷彿とさせる状況が再現される恐れがあります。民主的な手続きにより国民が首相を選出したとはいえ、その帰結としてこのような政治体制が生まれることに、改めて民主主義政治とは何か熟考させられます。