bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

法治国家と義務教育

カナダに住む娘が一時帰国をすることになりました。娘はこの機会に長女を日本の小学校に体験入学させようと計画しました。二人とも日本とカナダの二重国籍を持っています。そこで事前にカナダから日本の小学校に連絡を取り必要な書類など準備万端整えて二人は日本に着きました。

 

小学校を訪ね校長先生に書類を提出し「これで大丈夫ですよ」のお言葉をいただき娘がホッとした途端「ところで入学式は出席できません。また教科書は有償になります」と言われました。

 

義務教育なのに何故そのような待遇になるのかを娘が聞くと、体験入学(試験入学ともいうらしい)ですから入学にはならないとの回答でした。

 

意味不明の説明に納得できないと反論すると「教育委員会が決めている事ですから私には何もできないのです」とのお話しでした。そこで娘は教育委員会に問い合わせました。回答は「学籍がない場合は入学式には出席できず教科書も無償にはならない」との回答でした。

 

学籍とは何か、娘が辞書などで調べたところ以下のような説明がありました。

(学生や生徒としてその学校に所属することを示す籍。)

(児童・生徒・学生として、その学校に登録されている籍。)

 

この意味は何かと娘は私に聞いてきました。

そこで、いま迄の経緯を聞いて私なりに調べてみました。しかし何とも理解はできませんわかりません。

 

やむなく文科省に電話をしてたらい回しの末に初等中等教育局教科書課から回答を得ました。辞書と変わらぬ説明で最後には当該校を管轄する「教育委員会に相談してください」の繰り返しで終わりました。

 

結果を娘に話したら校長先生に話してみると校長先生にお会いしてすべての経緯を話したところ「前例がない事は誰もやりたくないのです。この様な疑問をこれからも多くの方から教育委員会にぶつけて欲しいと願っております。」との苦渋に満ちたお話だったようです。

 

やむなく始業式はあきらめて教科書代を支払った娘は始業式翌日からその子の手を引き小学校に向かいました。

 

それから一週間が過ぎた昨晩、私は田舎で地元の弁護士さんや行政書士さんと夕食を共にしました。ちょうどいい機会なので、この件について意見を伺ったところ皆さんが異口同音に「法律の運用上の問題だよ」とのこと。

 

教育委員会により教科書は無償とし、また始業式に参加させているところは幾例もあるとのことで、ある方はウェブ上に父兄が投稿した実例を見せてくれました。

 

法律とは国民の目的ではなく国民を幸せにするための手段に過ぎません。こんなことを認識した行政人の存在それが法治国家の原点だろうと思いました。