bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

ようやく動いた北陸新幹線

 

台風の影響を受け例年より参加者の少ない同窓会が終了し実家に戻ったのはまだ暗くなる前だった。そして13日午後から北陸新幹線は動くだろうとのニュースを微塵も疑わず明日の帰り仕度をして床についた。ところが13日朝のTVに映ったのは水没した長野の新幹線車両基地である。北陸新幹線は富山ー東京間での復旧目処立たず、とのテロップが流れた。
急遽ウェブでJR東日本を開いてみると何と上田駅は「避難指示解除まで閉鎖」とあるではないか。これはまいった。JR高速バスも終日運休だ。上田バス、千曲バスも運休。しなの鉄道も全線ストップ。手の打ちようがない。そこで13日に東京に戻るのは諦めて14日の手立てを見つけることにした。まず上田駅に電話をしたが繋がらない。数度かけてみたが繋がらない。そうか避難してるなら駅員は駅に居るはずがないのだ。仕方ないので手当たりしだいにウェブをサーフィンしてこれはと思うところに電話しまくった。そして軽井沢からJRバスが横川まで定刻で運行していること、さらに長野県内では運休の信越線が横川から高崎まで間引き運転していることがわかった。高崎から先は高崎線が動いてる。よし明日はこれを使おう、しなの鉄道が動くことが前提だがと決めると心が軽くなった。

 

さて空いた一日をどうしようかと手を頭にやり散髪に行こうと思った。海外旅行で散髪に行く時間がなくこの際ちょうどいい機会だと高校まで行きつけの理髪店に行ってみた。ここで半世紀ぶりに理容師の新チャンと感動の出会いをしたがこの話はまたの機会に。散髪が終わり上田駅に電話をしてみたが、やはり繋がらない。お昼になったのでサイゼリヤでパスタを食べて外に目をやるいい天気だ。少し歩こうとJAでお花を仕入れて墓参に向かった。菩提寺の境内では住職の妹さんが台風で吹き荒らされた落ち葉を拾っていた。軽く会釈をすると、カナダからお見舞いのメール頂きまして誠にありがとうございます、と言う。なんのことかわからず、咄嗟にどういたしまして、と答えてすれ違った。そうか次女の住むトロントから家内が台風見舞いのメールを出したのかと気がついて振り向くと妹さんは門の陰に消えていた。寅さんの妹さくらさんのような人だ。爽やかな秋風が頬に心地よい。墓参を終えてまた上田駅に電話をしたが出ない。むかっ腹が立つのでコンビニでナナコを使いレッドブル仕入れ飲みながら上田駅まで歩いて向かった。駅に着くと数人が駅正面に張り出された通知を見ている。ウェブに記載された文章が貼ってある。「避難指示解除まで閉鎖」誰が避難指示をしてるのか?上田駅以外に閉鎖している駅がいったい何処にあるのか。上田市のほとんどが昼には避難解除になっている。アホらしい。無駄な詮索はやめて実家に戻り錆びついたコックをひねり熱いシャワーを浴びながらスマホでラジコを聞いていた。すると北陸新幹線は長野と東京の間で臨時便を出したと言う。何だと人をおちょくってるのか?
スマホでJRHPを見ると上田駅閉鎖の通知が消えていた。

 

14日は朝の3時に起きてJRHPをチェック。上田駅閉鎖の掲示がないのを確認。コンビニコーヒーを飲み5時40分過ぎに上田駅に着いた。切符販売窓口の前には20人ほどの行列ができていた。よく見ると窓口はまだ空いていない。行列の前にいる人に聞くと6時に開くそうだと言う。始発は6時24分と表示されている。私の持つ特急券は13日なので14日に変更が必要だ。だが乗車券は14日まで有効だ。この人数では始発に乗れない可能性が高い。窓口が開いたが一人だけの対応だ。時間が来たら改札を突破してやろう、下車駅で話せば済むことだと決めて列に並んでいた。すると駅員が全席自由席ですから指定席はありません、とアナウンスし出した。なにを今更、表示板に書いてあるではないか。ところが列の前の数人が切符販売機に向かい駆け出した。後ろの人が呟いた。指定席が取れんかったら並んでも仕方ない、この切符で行こうと連れを促し改札口に走り出した。自動販売機で指定席券が買えることを知らない人や列車運行表示板を見ない人がこんなにいるのだ。おかげで列は短縮して何とか特急券を14日に切り替えてホームに上がった。
駅ホームの表示板は12両編成が10両になっている。想定外の事態にコンピュータシステムなんぞと言うものは対応できないのだ。福島原発で白日のもとに晒されたように大企業の雇われ経営者も想定外の事態には対応できないのだ。列車に乗ろうとすると後ろから指定席券を私に見せて嘆く人あり下車駅で払戻し請求したらと言い放ちつつ車内に乗り込むと空席多数おまけに暖房が効いている。車内システムまでも壊れたのか。
もったいないの精神で水没車両は闇雲に廃棄などせず点検のうえ中古車仕立て自由席だけの列車で運行してみたらどうだろうか。お仕着せのおもてなしも切符点検の人手も要らぬぞとJRに言ってやろう。