bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

映画パラサイトは日本の悲喜劇か。

今年のアカデミー賞四部門を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」を観ました。

 

路地裏の半地下に暮らす夫婦と息子、娘、四人の貧困家族。ある日、息子は友人から家庭教師の代役を紹介をされる。それをキッカケに富豪の家に娘は美術教師、父は運転手そして母も家政婦として入り込み一家でパラサイト生活を送る。しかし至福の時季は予期せぬ出来事に端を発しもろくも突然に崩壊してしまう。この物語をあたかも観客がジェットコースターに乗ってるかの如くテンポよく面白くまた躍動に満ちて悲しくも描き切っています。

 

貧富格差をユーモラスに描いたなどという批評を目にしますが、そんな薄っぺらな映画ではありません。深読みをすると非常に奥深く重い映画です。冒頭の半地下からの路上描写の映像は観客の視座を不安定にさせて思考を錯綜させます。例えば、哲学的にいうと半地下の生活とは理性の潜在下にあるリビドーの暗喩とも読めます。また政治的には、いつまで経っても水面上に浮上できずに米国に寄生する日韓両国の悲喜劇とも言えます。このように観客の解釈を多様に展開させる挑戦的な映画なのです。