bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

デジタル庁の発足に思う。

本日の朝日新聞は、1日に発足したデジタル庁の事務方トップを務める石倉洋子・デジタル監(72)が、自身の公式ウェブサイトのブログで、画像素材サイトの画像を利用規約に違反して掲載。報道陣とのグループインタビューで無断転載を認め、「私の不注意だった」と謝罪したと報じている。

 

石倉氏は経営戦略が専門の大学院教授で特にデジタルに明るい人ではないようだ。なぜこのような人がデジタル監に任命されたのだろうか。どうも幾多りかの候補者は居たものの間尺に合わずデジタル庁発足に間に合わせた窮余の人選のようである。

 

9月1日に発足したデジタル庁は、そもそも菅首相肝いりの国家戦略であり、平井デジタル大臣は一年も前にデジタル改革担当大臣に就任し「デジタル改革を総合的に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」を担当して来たはずである。それにもかかわらず事務方の司令塔ともいえるデジタル監の人選が遅れ開庁直前の任命となったのでは、スタートから問題含みと言わざるをえないようだ。

 

デジタル庁のホームページをみると以下のようなミッションとビジョンが掲げられている。

「ミッション」
誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。

一人ひとりの多様な幸せを実現するデジタル社会を目指し、世界に誇れる日本の未来を創造します。
「ビジョン」
Government as a Service

国、地方公共団体、民間事業者、その他あらゆる関係者を巻き込みながら有機的に連携し、ユーザーの体験価値を最大化するサービスを提供します。

Government as a Startup

高い志を抱く官民の人材が、互いの信頼のもと協働し、多くの挑戦から学ぶことで、大胆かつスピーディーに社会全体のデジタル改革を主導します。

 

どう読んでも具体性のない抽象的な観念論の羅列にすぎず、これではデジタル化により現状がどう改善改良されるのかまったくイメージできない。そもそも国民という言葉が一言もあらわれず主権者不在で官制目線からのお題目と言わざるをえない。

 

いまや太平洋の対岸ばかりでなくわが国が見下してきた近隣諸国からさえもデジタル勝鬨の声が日ごとに大きく聞こえてきた。そこで取り敢えず見切り発車したものの、明確なビジョンと戦略を欠いたままでは、やがて官僚機構に取り込まれ結局は血税を使い新たな天下り先という箱ものを作っただけという残念な結果にならぬよう祈るばかりである。