bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

「暗殺の森」映画評

 半世紀経過するもやはり感動の名作。 意外にも若い世代の女性が多く映画館は満員。 母性への嫌悪と同性への恋闕、富裕さゆえの虚無との葛藤に時代と悶える主人公、 それゆえ過去のあやまちからの逃避をファシズムに求めたインテリの悲劇。 テロ前夜のパリ、恋敵と女同士で舞うドミニク・サンダの絶望的な美しさ。 早朝の雪に埋もれた森の暗殺シーンは狂おしいほどに切なく愛おしい。 それは暗殺現場で主役を放棄したテロリストたりえぬファシストとしての悲劇ゆえか。 「卑怯者とホモと・・・人には反吐が出る」とテロ現場で吐き捨てたガストーネ・モスキンのセリフが重く心に沈殿する。2015/11/13