bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

日本学術会議会員の任命拒否問題

本件は合法か否かという法的な問題ではなく、「国民に忖度を強いる」典型的な強権政治、その巧妙な政治手法の一つだと思います。


ポイントは 「なぜ6人の任命を拒否したのか」 です。
日本学術会議の在り方を問うのであれば105人の全員または半数の任命を拒否してもいいでしょう。
または任命を保留して在り方を国会で問うことも可能ではないでしょうか。


任命拒否された6人のうち加藤陽子さんについてはその著作や言動から私の知る限り決して政治的に偏向した思想の持ち主とは
思えません。他の5人の方も知り合いのお話やネットに挙げられた業績から推察するところ政治的偏向のある方とは思えません。
いうなれば6人とも穏やかなご意見を持った論客といえると思います。
これが6人とも政治色の鮮明な、たとえば左翼的な考えの持ち主であれば反政府的な人は排除するという
政府の意向があまりにも露骨に表明されてしまいます。
これでは極論すると国民への恫喝ともとられかねません。


なぜあの人がと思わせるところが目の付け所なのです。
右でも左でもない穏当な意見の持ち主でしたら当惑させられてしまうのではないでしょうか。
あの程度のことなら私も考えたり言ってることなのに、これでは自分も当てはまってしまうではないか。
その結果として、これからは自分の意見を率直に話したり書いたりすることは差し控えようと思う人が出てくる、
それを政府は期待しているのではないでしょうか。


つまり6人の任命拒否により「政府に対する忖度」を国民に対し暗黙裡の強制としてに示すことが菅政治の意図ではないでしょうか。
そのため政府は任命拒否の理由はこれからも説明しないことでしょう。
阿倍政治が築いてきた強権政治、その踏襲を謳い文句とする菅首相の本性ここに見たり、と思います。
本件は日本学術会議という多くの国民にはおよそ縁のない組織の会員任命問題です。
しかし国民にとってノイズ(雑音)ではなくシグナル(危険信号)との認識を持ち事態の推移を注視すべきではないでしょうか。