bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

永久被占領国、日本

新型コロナの感染防止対策で失敗してきた日本政府ですが、今回は異例ともいえる迅速さで日本政府はオミクロン株感染防止の手段を講じ徹底した水際対策を実施してきました。そのためか欧米各国に比し感染者数は微少に抑えられ見事な手際だと感心していました。しかしながら年明けとともに感染者数が急増し今や感染第六波という状況で沖縄、山口、広島県には蔓延防止策が講じられると報道されました。政府主導による全国民参加の一億総水際作戦でした。奏功しなかったことは一国民としてまことに残念です。

 

この水際作戦が失敗した一つの要因は在日米軍基地にあると思われます。なぜなら、日本国における米軍の地位を取り決めた「日米地位協定」ですが、これは敗戦後のGHQ占領体制をそのまま継承したようなものだからです。
この日米地位協定第9条によると、アメリカ兵だけでなく軍属に加えてアメリカ兵の家族も含めアメリカ軍関係者は日本入国時の検疫が免除されることになっています。またアメリカ軍関係者はチャーター便でアメリカ本国や海外の基地から直接、在日米軍基地に入ることができます。つまりノー・ビザで入国できるのです。つまり在日米軍に対して水際対策は何ら意味のないものだったのです。

 

米軍基地では日本人が基地従業員として日本のルールに基づきマスクをして働いています。
ところがその横でアメリカ兵はマスク無しで自由に歩き回っているのです。

 

米軍基地で働く日本人はこんな状況に耐え被占領的状態を黙認していたわけではありません。


日米地位協定」の著者である山本 章子さん(琉球大学人文社会学国際法政学科准教授)によると「日本人基地従業員の組合である全駐労沖縄は、従業員の安全のために基地内でアメリカ兵がマスクを着用するよう繰り返し団交している。全駐労沖縄の要請は沖縄防衛局にも上がっていた」として「もし、防衛省が同じ要請を在日アメリカ軍司令部と国防総省に行っていれば、感染状況がここまで悪化することは防げたのではないか。」と述べています。
(筆者注:国土の0.7%に過ぎない沖縄には在日米軍基地の70%が駐留しています)

 

日本の報道機関も基地の外でマスクをせず出歩くアメリカ兵の映像を流していました。

 

日米地位協定の所管は外務省ですが、いったい日本政府は何をしていたのでしょうか。「在日○○」と聞いただけで気色ばむ人々が「在日米軍」に異議を唱えないのはなぜでしょうか。

 

敗戦の焼け跡に天使の如く現れ至福の時をもたらしたアメリカ兵、GHQ占領体制が未だ日本人の心に残照を残しているのでしょうか。

 

戦後の被占領体制をそのまま引きずった日米地位協定のような協定は、同じ敗戦国のドイツやイタリアの駐留米軍には認められていないと聞きます。

ところが日本では被占領的状況の是正努力をするどころか、安倍元首相は大統領にもなっていないトランプ氏の下に馳せ参じる醜態を演じて日本の立ち位置=subject to Stars and Stripes =「星条旗への忠誠」を世界に表明したのです。

 

それ以降の日本は為政者はじめ政官エリートによるトランプ直伝フェイクニュースとポストトウルースの花盛りです。もとより虚妄に過ぎぬ日本民主主義(投票日だけの主権在民と多数派の専横を担保するだけの代表民主制度)は崩壊し、本当のボスはアメリカであることを認識した官僚体制は官の道義を放棄し日本は完全に星条旗の国体となってしまいました。

 

岸田首相のオミクロン水際作戦も所詮は宗主国アメリカ主導のフェイクニュースの類いだったのかも知れません。
それよりも日米地位協定は国民に公表されているものですから、騙されたと勝手に思う国民が無知なだけだというべきかも知れません。

 

いずれにせよ米軍基地の問題は氷山の一角です。首都東京の制空権さえ自由にできない我が国の置かれた永久被占領体制、それを看過してきた(権力に飼い慣らされ思考停止の居心地よさに安住してきた)国民に問題の本質があると思います。