二・二六の
青年将校はおそらく事件当日に自らを革命の
起爆剤へと
純化させたのではないだろうか。貧苦の渦中にある国民に先駆けて自分たち先進的精鋭が決起すれば、広範な国民勢力は必ずや立ち上がるはずだと。
社会党・
共産党・総評労組の既成勢力では革命を起こすことが出来ぬ、自分たち
全学連が
社会主義革命の
起爆剤となるしかないと。しかし国民は蜂起せず、結果は六・一五の国会突入、警察機動隊との実力闘争に敗れ去った。
しかし共に決起を期待した
自衛隊員はバルコニー上の彼を野次と怒号で罵倒し倒した。
絶望した三島は市ヶ谷台上の露と消えた。
かくして「待ちと期待」の革命の夢はこの国から消滅したのである。
日本革命の宿命を冷ややかに見つめほくそ笑んでいるのは誰か。