bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

待ちと期待の革命

二・二六の青年将校はおそらく事件当日に自らを革命の起爆剤へと純化させたのではないだろうか。貧苦の渦中にある国民に先駆けて自分たち先進的精鋭が決起すれば、広範な国民勢力は必ずや立ち上がるはずだと。
この思考は1960年全学連安保闘争に継承された。
社会党共産党・総評労組の既成勢力では革命を起こすことが出来ぬ、自分たち全学連社会主義革命の起爆剤となるしかないと。しかし国民は蜂起せず、結果は六・一五の国会突入、警察機動隊との実力闘争に敗れ去った。
青年将校磯部浅一天皇への憤怒と怨嗟を三島由紀夫は「英霊の声」とした。
一一・二五、三島由紀夫は自らを新昭和維新起爆剤に模し決起した。
しかし共に決起を期待した自衛隊員はバルコニー上の彼を野次と怒号で罵倒し倒した。
絶望した三島は市ヶ谷台上の露と消えた。
かくして「待ちと期待」の革命の夢はこの国から消滅したのである。
日本革命の宿命を冷ややかに見つめほくそ笑んでいるのは誰か。