bekiranofuchi’s blog

社会を独自の視点で描いてみたいという男のつぶやき。

マイナカードと健康保険証

報道によると、総務省は12月中にも、暗証番号が不要なマイナンバーカードを導入する方向という。当初は、暗証番号の設定・管理に不安を抱える高齢者や認知症患者らを想定していたが、希望者全員に対象を拡大することへと方針転換するらしい。

また、すでに交付済みのカードでも、暗証番号なしに切り替えられるようにするという。

政府の方針変更の狙いは、明らかに現在4.49%にとどまっているマイナ保険証の利用率の押し上げであろう。

この方針転換により将来どんなことになるかというと、計4枚のカードもしくは紙がマイナ保険証として世の中に並存することになる。一つめは、「暗証番号あり」のマイナカード、二つめは「暗証番号なし」のマイナカード、三つめはマイナ保険証を持たない人向けの「資格確認書」、四つめはマイナ保険証が使えない医療機関で診療を受ける際に必要な「資格情報のお知らせ」である。

これでは患者にとっても医療関係者にとっても複雑怪奇そのもので混乱を招くだけである。このために投下される血税はいかほどか。

そもそもマイナンバー制度ではマイナカード取得は国民の任意によるものだった。ところがデジタル庁なる政府機関ができると突然マイナカードの普及に血道を上げ始めた。しかしマイナカードの普及は進まず、業を煮やした政府はカードを取得したら二万ポイント付与すると子供だましにすぎない血税浪費策を打ち出した。それでも普及が進まぬため国民の命綱ともいうべき健康保険証をマイナカードと一体化、既存の健康保険証を廃止するという暴挙に打って出た。しかし、国民は何ら問題なく運用されている健康保険証をマイナカードに紐付けるメリットなどまったく感じていない。多くの医療関係者も同様である。だからマイナ保険証の利用率は5%以下なのだ。所詮は利便性向上の手段・ツールに過ぎないマイナカードをして、その普及率を上げることを政府目的にしてしまったようだ。

国民の利便性や感情を無視して暴走を続ける政府、その意図は行政のデジタル化促進だと思われる。デジタル化により行政業務は効率性の向上が期待できるであろう。しかし、国民に問題なく運用されている健康保険証を強制的に廃止するデジタル化とは国民と医療関係者に不便さを押し付け、両者の不利益を代償にした行政ありきのデジタル化ではないだろうか。