衰亡は繁栄の絶頂期にはじまる、デイープシークの出現はパックス・アメリカーナの終わりの始まりになるのであろうか。
トランプ大統領の傍若無人な言動は、まさに近代ブルジョアジーの傲慢さそのものに思える。政治階級への嫌悪感がその象徴であろう。さらに狂信的な愛国心と外国嫌いの度合いが言動の異常さを増す。
ビジネスマンならぬ政治家として、ふた言めには「デイール」というが「ビジネスマンには政治はできない」(シュンペーター)と思う。
経済的な「デイール」について否定するつもりは毛頭ない。また国家と市民の普遍的な価値を増大させる目的に向かい、その手段としての「デイール」であれば肯定されるべきであろう。ところが、かつてトランプ大統領は「デイール」を国益に資する目的ではなく自身の政権を維持するための手段としてもっぱら利用したのではないだろうか。この姿勢は今回も変わっていないと見受けられる。
いっぽう、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵略により地域の地勢学的微動が始まったところに、機を一にして再選されたトランプ大統領だが、彼の言動は大きな世界的地政学の変動を引き起こす恐れがあるかもしれない。
ブリックスは昨年来、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアが参加して10ヵ国に拡大。北朝鮮はウクライナ侵略でロシアに協力、中国とロシアも接近の可能性、インドは中・ロ両面軟膏、アラブ・イスラムは反イスラエル、メキシコ・カナダは対米距離感が増幅、EUも対米距離感は拡大。このような現下の状況をみると離米・反米そして非米の国々がブロッを形成して、やがてはアメリカ包囲のネットワークが構築されていくのではないだろうか。
戦後80年、首都の制空権さえ喪失したままの似非独立国家日本、世界のために本当に善をなそうとするなら、トランプ大統領に断固として諫言をつきつけるべきではないだろうか。トランプ大統領は本気になって起こるだろう。
その時までに地政学的変動がどこまで進み如何なる反応が起きるか疑問だが、屈辱のまま衰亡を待つよりはいいのではないだろうか。
先のトランプ大統領との面談で国民の大向こうをうならせた石破首相だ。
覚悟さえできれば、持論のに米地位協定の改定とアジア版NATOの構築にむけ全力で邁進することができるだろう。